キャッシュフロー経営のすすめ
会社の損益が黒字でも会社の資金繰りがマイナスとなり、また、その逆の状況も起こります。そして、損益と資金繰りの関連について、黒字倒産のケースが一般的によく知られています。黒字倒産とは、損益計算書で利益が計上されているにもかかわらず、資金繰りがマイナスとなり、倒産してしまうことをいいます。
「発生主義」と「現金主義」のズレ
損益計算書は、原則として発生主義により、販売や仕入の事実に基づいて会社の損益を表します。資金繰り表は、現金主義により、販売代金の入金や仕入代金の支払の事実に基づいて会社の資金繰りを表します。ここで、販売と販売代金の入金のタイミング、また、仕入と仕入代金の支払のタイミングは異なることがほとんどです。
よって、販売と仕入の事実に基づく損益計算書と、入金と出金の事実に基づく資金繰り表は、異なる結果となるので、黒字倒産が成立してしまうのです。
資金繰り管理の重要性
資金繰りとは、「資金の調達」や「資金の返済」だけでなく、「在庫管理」や「滞留債権の回収」などの事業活動全般にも関係してきます。例えば、黒字倒産において、過剰在庫を原因とする資金繰り悪化のケースを考えると、「在庫管理」が資金繰りで重要な要素となります。
したがって、資金繰りを管理していると、将来的な資金不足を早いタイミングで把握でき、とりうる対策の検討時間を確保出来るというメリットがあります。また、逆に将来的に資金に余裕が出てくる場合、その余裕資金を事業活動に再投資するなど、検討することも早いタイミングで可能となります。
金融機関の融資獲得でのメリット
金融機関は資金繰り表を重視しますので、金融機関への融資申請の際、資金繰り管理がなされている企業は、適切な資金繰り表を提出することで、金融機関の融資獲得に近づくことが出来ると思います。つまり、資金繰り表を適切に作成することで、金融機関の信頼を得ることに近づくことが出来ます。
資金繰り表の概要
資金繰り表とは、資金繰りに役立てるために作成される資料で、資金収支をあらわす表です。通常、「営業収支」、「設備投資」、「財務収支」の3つに分けて管理します。
経常収支
企業本来の営業活動での現金収支。
設備収支
設備投資や売却などの投資活動での現金収支。
財務収支
銀行からの借入金や借入金返済などの財務活動での現金収支
「資金繰り実績表」と「資金繰り予定表」
資金繰り実績表
過去の資金繰り状況を示し、資金収支の原因を探ること、予算実績比較すること、経費等の資金管理などに有効です。
資金繰り予定表
将来の資金繰り状況を示し、将来の資金収支の予測、販売計画や取引条件等の検討などに有効です。
まとめ
損益計算書を重視するだけでなく、資金繰り表も重視したキャッシュフロー経営を導入することで、資金不足を考慮しつつ、資金増加を経営目標として、経営基盤の強化や金融機関等の信頼確保を図ることが出来ます。