平成28年度税制改正の概要~法人課税等~
平成28年度税制改正(法人課税等)のポイントは、法人実効税率を国際水準に近づけるべく、引き続き引き下げることに重点を置いております。そして、財源については、持続的な経済成長の実現と経済の構造的な改善に留意しながら、課税ベースの見直しをしております。
以下に、平成28年度税制改正(法人課税等)の概要を記載します。
(1)法人実効税率の引下げ
平成27年度 | 平成28年度 | 平成29年度 | 平成30年度 | |
法人税率 | 23.9% | 23.4% | 23.4% | 23.2% |
外形標準課税所得割 | 6.0% | 3.6% | 3.6% | 3.6% |
法人実効税率 | 32.11% | 29.97% | 29.97% | 29.74% |
適用開始時期は、平成28年4月1日以後に開始する事業年度から法人税率23.4%、平成30年4月1日以後に開始する事業年度から法人税率23.2%に引き下げられます。
(2)外形標準課税の拡大
大法人について、法人事業税において外形標準課税の割合を3/8から5/8に拡大し、
所得を課税標準とする所得割の税率を6.0%から3.6%に引き下げる。但し、付加価値割について、改正に伴う負担増加額の一定割合を3年間控除する。
平成27年度 | 平成28年度 | |
付加価値割 | 0.72% | 1.2% |
資本割 | 0.3% | 0.5% |
所得割 | 6.0% | 3.6% |
適用開始時期等は、平成28年4月1日以後に開始する事業年度から適用となります。
(3)減価償却方法の見直し
今後、新規に取得する建物付属設備、構築物の減価償却方法を定額法に一本化する。
平成27年度 | 平成28年度 | |
建物付属設備 | 定額法・定率法 | 定額法 |
構築物 | 定額法・定率法 | 定額法 |
適用開始時期等は、平成28年4月1日以後の取得資産から適用となります。
(4)生産性向上設備等投資促進税制の縮減・廃止
生産性向上設備等投資促進税制は、平成28年度に支援措置を縮減の上で、平成28年度末に廃止します。
平成27年度 | 平成28年度 | |
特別償却 | 即時償却 | 50%償却 |
うち建物、構築物 | 即時償却 | 25%償却 |
税額控除 | 5% | 4% |
うち建物、構築物 | 3% | 2% |
適用開始時期等は、平成29年3月31日までに取得等し、事業共用した減価償却資産に適用となります。
(5)欠損金繰越控除制度の見直し
平成27年度改正で決定した欠損金繰越控除の見直しについて、欠損金繰越控除の利用制限をさらに見直しました。
欠損金繰越控除限度額(大法人)
平成27年度 | 平成28年度 | 平成29年度 | 平成30年度 | |
改正前 | 65% | 65% | 50% | 50% |
改正後 | 65% | 60% | 55% | 50% |
適用開始時期等は、平成28年4月1日以後に開始する事業年度から適用となります。
欠損金繰越期間
平成27年度 | 平成28年度 | 平成29年度 | 平成30年度 | |
改正前 | 9年 | 9年 | 10年 | 10年 |
改正後 | 9年 | 9年 | 9年 | 10年 |
適用開始時期等は、平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金について適用となります。
(6)法人税率の特例
中小法人等の年800万円以下の所得金額について、法人税率15%に軽減する措置の適用期限を2年延長する。
適用開始時期等は、平成30年3月31日までに開始する事業年度に適用となります。
(7)中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
中小企業者等が30万円未満の減価償却資産を取得した場合、その合計額300万円を限度として、全額損金算入することを認める措置の適用期限を2年延長しました。但し、従業員1,000人超の法人を除外する。
適用開始時期等は、平成30年3月31日までに取得等し、事業共用した減価償却資産に適用となります。
(8)中小法人の交際費課税の特例
法人が支出した交際費は、原則損金不算入であるが、中小法人については、定額控除限度額800万円までの損金算入を認める措置の適用期限を2年延長しました。また、接待飲食費の50%までを損金算入できる措置の適用期限を2年延長しました。
適用開始時期等は、平成30年3月31日までに開始する事業年度まで適用となります。
(9)新たな機械装置の投資に係る固定資産税の特例
中小企業が中小企業の生産性向上に関する法律(仮称)の施行日から平成31年3月31日までの間に取得する新規の機械装置は、160万円以上の生産性向上設備(生産性1%向上かつ10年以内に販売開始)であれば、固定資産税を50%に軽減する措置を創設しました。
適用開始時期等は、中小企業の生産性向上に関する法律(仮称)の施行日から平成30年3月31日までの間の取得資産となります。
(10)雇用促進税制の見直し
雇用者数が5人以上(中小企業は2人以上)増加し、基準雇用割合10%以上の増加等の要件を満たす企業は、増加雇用者数1人当たり40万円の税額控除が受けられます。しかし、平成28年4月以降の開始事業年度より、対象者が無期雇用かつフルタイムの雇用者で、対象地域が地域雇用開発促進法の同意雇用開発促進地域内に制限した上で適用期間を2年延長しました。
適用開始時期等は、平成30年3月31日までの間に開始する事業年度まで適用となります。